サーボプレスシミュレーション機能 「JServo」
JSTAMP ではサーボプレスを想定した機能群(名称 JServo)を開発・搭載いたしました。第一弾として、再潤滑効果をシミュレートする機能を開発しました。
概要
サーボプレス機での成形における現象を予測・再現
近年、サーボプレス機の導入が進んでいます。しかし、スライドモーションを自由に設定する機能は広く活用されていないのが実情です。サーボプレス機において、クランクモーションが利用されることが多い理由は、従来の機械式プレスでのノウハウを活かしたい、あるいは、従来と異なるモーションとしたときの型やワークの挙動を予測しにくい、といったことが挙げられます。
JSTAMP は、使い方次第で成形性、形状凍結性および寸法精度の面で有利といわれるサーボプレス機の利用を、現象の予測・再現の面からサポートしたいと考えています。JSTAMP の最新版では、サーボプレス機の自由なモーション設定を想定して、次の機能を搭載しています。
(1)任意のスライドモーションを設定する機能
(2)型とワーク間の再潤滑を表現する機能
任意のスライドモーションを設定する機能
任意のモーションを CSV ファイルでインポートすることができます。
計算上、現象時間を短くするために、速度のスケールファクターを設定することも可能です。

図1 JSTAMP のスライドモーション設定画面
型とワーク間の再潤滑を表現する機能
図1のような逐次成形モーションでは、型とワークが瞬間的に離れることが起こります。このとき、ワーク表面のミクロオイルプール(表面粗さの谷部)から潤滑油が流出することで潤滑状態が改善し、ワークの成形性がよくなるというメカニズムが指摘されています。
JSTAMP では、この再潤滑効果をシミュレートする機能を開発・搭載しました。
事例
ここでは、サーボプレス機による成形性向上を、JSTAMP による解析で再現した事例をご紹介します。
写真1は異なるモーションでの成形品の写真です。この異形絞り(SUS304L、板厚1mm)の実験においては、クランクモーションでは頭部張り出しによる割れが発生し、逐次成形モーションでは割れを回避することが確認されています。図2に、ふたつのスライドモーションの違いを示します。
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写真1 左:クランクモーションでの成形品、右:逐次成形モーションでの成形品 (ご提供:アイダエンジニアリング株式会社様) |

図2 スライドモーション
これらのモーションをそれぞれ JSTAMP に取り込み、成形シミュレーションを行いました。板厚減少率コンターと FLD 評価を 図3に示します。また、図4の評価断面に沿った板厚分布について、測定値と解析結果を比較したものが 図5 です。これらより、逐次成形モーションによる成形性向上を正しく評価することができていることがわかります。

図3 板厚減少率コンターとFLD評価

図4 評価断面

図5 評価断面における板厚分布
今後について
JSTAMP では今後も、サーボプレス機による加工で発現するさまざまな物理現象について、設計上における重要度が高いものから、積極的に CAE で予測・再現できるように開発を進めて参ります。